20年経ったのか

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津田晃代「最後のストライク 津田恒美と生きた2年3カ月」読了。
だいぶ前に放映された本作のドラマ化では見始めて15分で涙腺が決壊したが、今回は何とか耐えた。
本自体はその頃既に購入しており、同様に津田を追った「もう一度、投げたかった 炎のストッパー津田恒美 最後の闘い」はその頃読んだ。
この本はその頃からあり、「通勤時に読んだら間違いなく泣くな...」と思って今まで置いていたのだ。

本書は野球人としての津田を追っているのではなく、主に闘病記である。
なので、彼と著者との出会いは「序章」であり、発病が「第一章」である。
そこから一気に死の淵までたどり着き、絶望の中から食事療法によりトレーニングができる程まで回復する。
しかし病気が再発、2年3カ月の闘病の後帰らぬ人となってしまう...。
ドラマのような悲劇であるが実話である。
ただ、そこには津田夫妻の人間らしい葛藤が描かれている。
病気を恐れる津田、次第に介護に疲れていく著者。
ただひたすら前向きなだけでは決してない。
(もちろん、必死に励まし、勇気づけてはいるけど)
文庫版あとがきで彼女は書いている。

闘病生活の2年3カ月のことが私たち夫婦のすべてであるかのようにそこだけがクローズアップされ、どんどん美化されたイメージが造り上げられていくようで何かモヤモヤとした違和感も感じていました。
私が闘病記を出したことで、実物とは違ったイメージを人々に与えてしまったのではないだろうかと悩みました。
実際の主人はもっと人間的でした。

人間的だからこそ、「生きたい」「もう一度マウンドに登りたい」と言うある種のエゴが生じるのだと思う。

いつの間にか彼の年齢を追い越してしまった。
この年齢で死んでしまうことの無念さを考えると、1日を無駄なく生きなければならんなぁと思うのだ。
ちょっと人生に疲れかけている同世代の人たちにオススメ。
是非野球人としての彼と闘病生活を送った人間としての彼を上記2冊を通じて見ていただきたい。