強者のしくみは分かった。

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磯部洋 「強者のしくみ 論理的思考と全体最適を徹底する会社」読了。
久しぶりに分厚い本を読んだので疲れた...。

本書はセブン-イレブンとしまむらを例に強者がどんなしくみを作り、それによりコントロールしているかを説いている。
まず読み終えた感想としては「長い」。
そう思ってしまったのは私の誤解も含まれる。
この本はあくまで2社を「例にして」強者のしくみを説明しているのである。つまり、2社の説明「だけ」ではない。
で、その「だけではない」部分がものすごい多い。
私が期待していたのはセブン-イレブンとしまむらのしくみ、特にしまむらのしくみについて知りたかったので、そう言った意味では「だけではない部分」は辟易させられるのに十分な内容だった...。

そういう意味で本書を読む場合、とても有意義なのは3章である。
ここでは「比較的」2社の「しくみ」について述べられている。

内容が悪いわけではないのだが、推測・憶測が多いし、それに対する検証もされていない。
旧日本軍の戦略については、本書でも取り上げている山本七平「日本はなぜ敗れるのか」や、戸部良一他「失敗の本質」、先日出たHBRの2011年1月号などを読んだ方が詳しい。
まぁ結論としては「だから日本は負けた」になるので、検証は必要ないのかもしれないけど、「それによって(短期的に)何が起こったか」については検証するに値するのではないかと思われる。

何の知識も持たずにいきなり読む分には得るものは大きい本だと思う。
逆にいくつかのセブン-イレブンやしまむらに関する本、旧日本軍に関する研究書等を読んだ上でこの本を読むと、あまり得るものはなく、ただただ日本人がダメだと決め付けられている暗澹たる気持ちと断定形の文章によるモヤっと感に苛まれること請け合いである。
まぁ、日本で商売をする限り、商売をする相手の主体はそのダメな日本人なんですけどね。